【開催レポート】沖縄食材と飲料のおいしいペアリング・マリアージュ体験『グラスワイン 桜坂 ル・ボワ』

2024年1月11日

沖縄県には、島野菜をはじめとして、県外では珍しい沖縄ならではの珍しい食材や加工食品がたくさんあります。

そこで今回はこれらの食材とマッチする飲料体験のワークショップを開催。

選りすぐりの県産食材と飲料とのペアリングを学び、マリアージュ体験をして得た知見が、新たな沖縄食体験の価値創造につながることを目指して実施されました。

「ペアリング」や「マリアージュ」とは、もともとワイン用語

「ペアリング」はお酒と相性の良い料理の組み合わせのこと。

「マリアージュ」は、それぞれ異なる味わいの料理とワインが組み合わさることで、もうひとつの調和した味わいが生まれることをいいます。

結婚(フランス語でマリアージュ)は、異なる家族で育った者同士が結ばれ、もうひとつの新しい家族が生まれますよね。語源はそこから来ているようです。

【今回の沖縄県産ペアリング食材】
・あやはし牛(経産牛:出産を経験した母牛)バラ肉
・今帰仁アグー 肩ロース
・ジョンさんのチーズ ヨーグルト/ブルーチーズ
・てるてるファーム アテモヤ
・岸本ファーム イチョーバー他 島野菜

ほか県産食材

【講師】

那覇市泉崎にてワインの小売・卸、インテリアコーディネートを手掛ける[wine&interior CLASSICO]と、常時30種類ほどのグラスワインが飲める [那覇桜坂ル・ボワ]の両店舗のオーナーである前森裕人氏です。今回はこのル・ボワで開催しました。

株式会社クラシコ 代表取締役 前森裕人氏

(一社)日本ソムリエ協会認定シニア・ソムリエ

(一社)泡盛マイスター協会認定 泡盛マイスター

いよいよペアリングスタート!

まずは参加者全員で自己紹介。

本日の沖縄県産食材とそれに合う飲み物のリストが発表されました。

沖縄の食材に合わせ、ノンアルコールとアルコールの2種類をペアリング。

トップバッターは、島野菜サラダと3種のソース。どれもきれいな色合いです。

 

県産食材は下記の通り。

<ソース赤>ビーツとジーマーミ豆腐(ピーナッツ)

<ソース白>ジョンさんのヨーグルトソースとうっちん(ウコン)

<ソース緑>イーチョーバーとワタガラス(かつおのアンチョビ)

<サラダ>ハンダマ、長命草、クレソン、つるむらさき、ディル、ミント、ナスタチウム、スターフルーツ、かぶ、カリフローレ、島人参、新ジャガ、ズッキーニ、コールラビ、ゴーヤー、ラディッシュ

サラダとペアリングをするのはレモングラス アイスハーブティ(ノンアルコール)

レモングラスのアイスハーブティには、勝山で採れたカーブチー(沖縄の在来種のみかん)の果汁が入っており、よりさわやかな印象。

Zuisen Legare レガーレ スパークリング泡盛(アルコール)

瑞泉酒造さんが出しているスパークリング泡盛。そのままでも飲みやすいですが、沖縄らしく、パッションフルーツの果肉が入り、さらに爽やかで飲みやすい印象だと声があがりました。

続いてのお料理は、豆腐ようとジョンさんのブルーチーズ、アテモヤのカナッペ

アテモヤは樹になるアイスクリームと呼ばれるフルーツで「ナタデココやヤシの実のような味がするね」「パッションフルーツの香りもするな…甘くて美味!」など聞こえてきました。

ペアリングをするのは

ソバー・リースリング + ハチミツ(画像左ノンアルコール)

李白 純米 本みりん(アルコール)

ソバー・リースリング(写真左)は、ドイツのノンアルコールワイン。ノンアルコールのワインは一度ワインを作って、最後の工程でアルコールを抜くという製法で、以前は甘口のものが多かったノンアルコールワインですが、最近では辛口のものが出てきて、ノンアルコールワインのレベルがどんどん上がってきているそうです。車社会沖縄では需要も多いので、嬉しい限り。今回はハチミツも入っており「美味しい!」とそこここから聞こえました。

また、みりん(写真右)をそのままお酒として飲むという経験はあまりないですよね。通常は料理に使うものですが、上質なみりんはとてもおいしいそう。

キンキンに冷やしロックで飲むことで甘味が緩和され、そこで塩気のあるものと甘味をマリアージュ。

3品目は桜坂ボロネーゼ

アグー豚ひき肉、瑞泉酒造 青龍3年古酒、勝山シークワサーを使ったソース

シークワサーの酸味が引き立ち、通常のボロネーゼよりもさっぱりとした味わい

ペアリングドリンクは、沖縄ティーファクトリー・紅茶 ※画像上:ノンアルコール

ピエロパン ソアーヴェ・クラシコ(イタリア) ※画像下:アルコール

 

ボロネーゼの豚肉の脂身と紅茶の渋みのマリアージュ。紅茶はマリアージュを考えてあえて常温で提供されました。

アルコールは、白ワイン。通常お肉には赤ワインが合うと言われますが、シークワサー入りのトマトソースの酸味と、白ワインの酸味を合わせての提案。

「合わさって、よりスッキリとした味わいになった!」というマリアージュの感想が聞こえてきました。

4品目は今帰仁アグー肩ロース うるまピクルス(フルーツ)と島らっきょうのソース

ペアリングドリンクは、

やんばる産カラキティー(画像中:ノンアルコール)

瑞泉酒造 青龍3年古酒/瑞泉酒造 水割り15度(画像右:アルコール)

沖縄に自生している樹の葉「カラキ」はシナモンの一種。カラキティーのなかに、さらにフレッシュなカラキの葉が浮く演出で提供されました。アグー豚を食べながら、口の中でシナモンのスパイスを振るような感覚でカラキティーを飲むという提案でした。

 

泡盛は、青龍3年古酒をお水と半々で割り、1日寝かせて冷やし、こなれた感じにしてから大きめのワイングラスで提供されました。大きめのワイングラスにすることで香りがより楽しめるとのこと。「フルーツのソースもあり豚肉がしまった状態で泡盛と一緒に食べると、口の中で甘さが広がり、お互いの良さを感じます。」と参加者さんからの声。

5品目はあやはし牛(経産牛) バラ肉~75ビール煮込み

ペアリングドリンクは、カカオウォーターのコーヒー割り(画像上:ノンアルコール)

オリオン 75BEERクラフトラガー(画像下:アルコール)

 

「命を最後までいただく」という思いを背景にしたあやはし牛(経産牛:出産を経験した母牛)のオリオン75ビール煮込みと合わせるのは、これまた興味深い「カカオウォーターのコーヒー割り」。

最近スーパーフードとしても注目されている「カカオニブ」(チョコレートの原料)。これを120度のオーブンで焼いてから1日水出しをし、コーヒーで割ったそうです。(カカオウォーター7対コーヒー3)。なんて面白い提案なのでしょう。

アルコールの方は、シンプルにビール。75BEERクラフトラガーはコクと苦みがしっかりしているのでお肉料理に合い、苦みと苦みを合わせた提案。料理に使用したお酒との相性はバッチリです。

最後は、ジョンさんのクリームチーズとヨーグルトのムース&タンカンジュレ

ペアリングドリンクは、ピエール・ロゼ ブラン・ド・ブラン(画像左:ノンアルコール)

シャンパーニュ コンテス・ド・グランモンブリュット(画像右:アルコール)

ノンアルコールのスパークリングワインの品種はシャルドネ。リンゴのような香りが広がりフルーツを使ったデザートにマッチ。

シャンパンは、クリームチーズとヨーグルトムースの柔らかい優しい甘みとチーズのさりげない塩味との相性がベストマッチでした。

通常、シャンパン、スパークリングワインは食前酒と言われますが、今回は泡盛スパークリング・レガーレでスタート。泡で始まり、泡で締めるという前森氏からの粋な提案でした。

最後はみんなでル・ボワさんに感謝を

最後に今回、ペアリングとマリアージュを提案して下さったル・ボワさんに感謝をお伝えして開催を終えました。

 

今回の視察ツアーに参加したシェフからは

「沖縄にはまだまだ知られていない食材もありますし、知ってはいるけれど評価を得られていない食材もある。それらを使った沖縄食材とドリンクとのペアリングでお互いの持ち味を引き上げ美味しく提供していこうと思います。」との声も。

 

皆様、お疲れさまでした!