日時:2024年9月28日(土)、29日(日)18:30~場所:ラ・メゾン・クレール1853
世界の美食家を魅了するミシュランスターシェフ・吉野 建氏と琉球とフレンチの融合を奏でる「ラ・メゾン・クレール1853」シェフの小林 光栄氏。パリのジョエル・ロブションで学びあった二人のコラボレーション。沖縄テロワールを感じる二夜限りのガラディナーが開催されました。
【吉野 建氏】鹿児島県喜界島出身。1979 年に渡仏し、当時ジョエル・ロブション氏が率いるパリ「ジャマン」をはじめ名だたるレストランで修行。
フランス・日本両国のミシュランガイドで星を4店舗5つ獲得。2007 年スイス・ダボス国際会議の料理長をフランス内政省からの要請で務め成功を収める。
2010年にはフランス政府より「農事功労章シュヴァリエ」を贈られるなど、料理界において数々の功績を残す。
【小林 光栄氏】18 歳で料理の道に入り、渡仏。パリのジョエル・ロブション、ギー・サヴォワ、ヴェズレーのレスペランス等、ミシュラン三ツ星・二ツ星で修行を重ね帰国。
県内外のホテルでシェフ・料理長を歴任。2005 年八重洲会 / 日本最高料理家協会で金章受章。クラブプロスペールモンタニエ シュヴァリエ受章。2008 年、那覇市久米に「ラ ・メゾン・クレール1853」を開業。
「あぐ~のブータンノワール ノルマンディー風」ガラディナーのスタートを飾るのは、シャルキュトリの中でも最も歴史のある「ブータンノワール」、あぐー豚の血を使った腸詰め。フランスと同様ここ沖縄でも、豚の血を使った血イリチーという料理があり、沖縄の食文化との融合、「沖縄テロワール」を感じるスタートです。
「久高いらぶのジュレと島野菜のクリーム」滋味深い久高島産イラブー(エラブウミヘビ)の旨味たっぷりのジュレと島人参が香るクリームが口の中で品よく混ざり合います。まさに沖縄の長寿料理とモダンキュイジーヌの融合。
「鮪と茄子のミルフィユ仕立て キャビアとクーリドトマト添え」吉野氏のスペシャリテのひとつ。沖縄県産鮪と茄子にソースを絡めて食す。
次にキャビアを乗せてみる。味がグッと引き締まるのを感じます。
今度はキャビアの代わりに海ぶどうを乗せてみる。キャビアと海ぶどうの少し異なる食感と塩味(えんみ)を楽しんでいるとあっという間に一皿を食べ終えてしまいます。
「車海老のフランと燻製 軽いナンチュアソース」車海老の養殖生産量が日本一の沖縄。濃厚な香りただようフランと車海老の燻製 甲殻類のソースは茶碗蒸しのようで、東西の距離が近づいたような感覚を覚える逸品です。
「牛赤身、貝類、雲丹のタルタル仕立て」沖縄の伊江牛の赤身とマスタード風味のタルタルのみで、まずはひとくち。
思わず笑みがこぼれます。ひと匙すくうと中から鮑、雲丹と続き、トリュフと共にいただくという贅を尽くした一皿。ひと匙ごとに、組み合わせ次第で味の変化が楽しめます。
「赤仁ミーバイのポワレ ブイヤベースソース」赤仁ミーバイと3種類の魚貝、素材ごとすべての火入れが最高の状態で提供され、特に赤仁ミーバイの皮目のサクサク感とふんわり美しい身、そしてレア感を残した貝には、ため息がこぼれます。
「兎とその内臓、フォアグラのパイ包み焼き 赤ワインソース」ジビエ料理に定評のあるムッシュ吉野のスペシャリテ。 ジビエ料理の最高峰である大会にてフランス1位を獲得し、テットドヴォー(牛の頭の料理)ではパリの王様と呼ばれていた吉野氏ならではの逸品。まるで兎をまるごと味わい尽くすかのように兎肉、レバー、フォアグラ、ほうれん草をパイで包み、まぁるく美しい円が半分にカットされた至高の一皿。断面も美しく、運ばれてきた瞬間から感嘆。食する前から気持ちが高揚。 また会いたいと思わせる満足感のあるメイン料理でした。
「山原すもものクレメダンジュカクテル」7皿続いたお料理からデザートへと向かう気分転換。コクのあるクレメダンジュに酸味のある日向夏のグラニテが絡むことでさっぱりとし、山原すももがアクセントとなります。
「古き良き時代のタイユバンのしっとりショコラ キーツマンゴのグラス添え」吉野氏が古き良き時代のタイユバンに思いを馳せる4種類のショコラデザート。
ここにキーツマンゴのグラスを添え、沖縄の風が吹きます。
最後に「小菓子」「珈琲 又は 琉球紅茶」
「料理にペアリングされた4種類のシャンパンとワイン」沖縄県産の食材を使い、沖縄の食文化に寄り添うことで、沖縄を感じてもらうことを意識した今回のガラディナー。参加されていた女性全員が、すべてのお料理を食しており、身体に負担なくさらりと食べてしまえる小気味よいフレンチガラディナーでした。
裏方では、2023年から始まった沖縄の料理コンクール「シェフ・オブ・ザイヤー・オキナワ」で入賞されたメンバーも吉野氏の指導を受けながら調理に参加をしていました。次代の沖縄を担う若い料理人が、巨匠とともに料理に向き合う姿も同時に見ることができ、これからの沖縄ガストロノミーの展望は明るいと感じる一日でした。